ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
ああーくそ。なんで俺がこんな気を遣ってやらにゃならんのか。

「別にお前には怒ってねーよ。ちょっと、他のこと思い出して」

「なんだ!思い出しムカッと?焦って飴あげて損したー!」


焦るくらいには俺のことも考えてくれてると思うと、現金なことにさっきまでと真逆の感情が湧く。


「そんな気に入ってるヤツなら、今度みんなにバラまけるくらい買ってきてやるよ」

わー自分をど突きたくなる上機嫌だな、今の俺キモイ。

恋愛の浮き沈みってこんなハードだったっけ。めっちゃ怖えーな。

こりゃ錯覚しないようちゃんと弁(わきま)えとかなきゃ今後仕事に支障をきたすと、自身に念入りな声かけをしたところで、今の体勢にようやく気が回る。


げ。めっちゃ際どいとこに馬乗りされてるし。

「バラまかないよー。貰ったら全部食べるし」

「は、なんだよ?ケチくせーな」


とりあえず、コイツもまだこの状況に気付いてなさそうだ。

ここは、何も気にしてない風を装いつつ、からかわれる前にさりげなくこの馬乗り体勢をどうにかしないとーー


「ケチだよ。彗大だから、あげたんだし」

だーかーら。
こっちの努力を無にするようなこと、サラッと言うなっつの!

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