ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
あーこの状況をコイツが気付いてないわけねぇか。

これが罠だという自覚は言われなくても嫌ってほどある。

後半の“最後にはバーっと全部持っていかれるようなヤツ”の再現の為の、コイツのあざとい口車だと、重々承知している。

「じゃあ今返すよ」とか。腕グイ!とか。(顎クイとか壁ドンとかあるから腕グイもあるよな?)

少女漫画じゃないんだからこんなタイミングでそんなことする男いねぇよ!と過去のどこかしらで言っていた俺、30秒だけ見逃してくれ。


「彗……っひゃ、」

子供時代のプロレス技(応用編)がまさかこんなところで生きるとは思ってもみなかった。

コイツの腕を強く引き寄せ抱きとめると、くるりとカラダを翻し、あっという間に組み敷き、形勢を逆転させる。

そしてようやく味が分かってきた口の中の飴を、コイツの望み通り、激しい口移しで返した。

「、んっ……!」

息つく暇も与えず、更に唇を繋げあう。

いつしかパリッと割れる感覚がして、口の中に最後の強い甘さがひろがった。


「……は、あまっ、」


さっき不完全燃焼の触れ合いをしてしまった分、もう一度その唇を味わうと止まらなくなる。

唇に、頬に、首すじに。

ヤバいな。どんどんコイツの筋書き通りの展開になっていく。

飴のせいか?女の肌を甘いと感じたのも初めてだ。

「はぁ……飴、が?」

「……っわかんね、」


それを確かめるべく、性急に服の隙間から手を差し込みたくし上げ、まだ触れたことのない領域に手を進める。

「っ、」

その溶けそうな肌の質感に、完全に理性が砕けーー

ーーーー♪♪♪♪


「あ、しょうこちゃんの着信音」


ーーそうな寸での所で、魔王様による邪魔が入る。


あーはいはい、知ってるよ。

まぁこれが、お前が用意してたシナリオのお約束展開ってやつだよな。(涙)←

< 47 / 144 >

この作品をシェア

pagetop