ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
わたしの中で知らず知らずに、モヤモヤとした色が広がっていた。


一昨日のカラオケの後。

すぐにアトリエに戻ったわたしは、一心不乱にあの時の感覚をキャンバスに再現していた。

謎を残したままではあったけれど、官能的、という視点でならば、しょうこちゃんの初課題もきっとクリアだ。

なんてのは、どちらかといえば建前で。

課題ウンヌンは後回し!とにかく描きたい!それでも最終、そこに結びつくでしょくらいの気持ちだった。

だから明け方、その見切り発車の画が予想を遥かに下回る、なんとも微妙過ぎた仕上がりになって、のたうち回った。

なんで?なんでぇ?

確かにちゃんと再現した。間違いなく再現できている。

ただ、自分の中で消化できていない原因不明部分までもが色になってしまったのは誤算だった。

一度モヤモヤしだすと、そのモヤモヤが二乗、三乗と、驚異的モヤモヤ数で抑えきれなくなって。

「しょうこちゃーん、もう描けないかもー!!」

迷惑もはばからず、早朝からしょうこちゃんに泣きべそ電話すれば、ソッコーでアトリエに飛んで来てくれた。

そして、「背に腹はかえられぬ」と、しょうこちゃんもゴム手袋を装着して、ずっとわたしの原因究明と画の修復に惜しみない協力をしてくれた。

けれど結局、

「コレはコレで異色だけど……今回のテーマ画としては基準外ね」

初課題は見事にボツをくらってしまう。

一旦ここまで!としょうこちゃんにシャワー室に押し込まれて、そこから記憶が実は曖昧で。
気付けば仮眠室のベッドで今日の朝。

丸1日近く寝てたから、頭はスッキリしたんだけど。

画は仕上がってないわ、原因不明のままだわ、まけぃた来ないから進まないわで、

ああ、久しぶりにズタボロでイライラしてたんだからね!

「まけぃたマジで待ちくたびれた!」

「発声練習かよ」

わわ!1日ぶりのまけぃたの声。

待ちに待っていただけに、いつも以上に鮮やかな色が魅える。けど。

「発声はまけぃたの仕事でしょ!」

たった一言にもう機嫌をよくしてしまってるなんて我ながら単純過ぎるから、わざとふてくされたフリをする。

ああ、変わらない小悪マけぃた(小悪魔+まけぃた)の声は、ズルくていけない。
(もっと寄越せ!)
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