歪な光
こいつは、いつも私が補導されたときに母親についてくるから、自然と瞬の顔をみていたのだろう。






「お前、よくいるお巡りさんじゃないですか」






愚弄するような言い方で、そういうと奴は笑い出した。





「真白、大丈夫?行こう」






瞬は私のバッグを持って私を庇うように、歩き出す。






「この世も困ったもんだな。正義の味方のお巡りさんが、ロリコンだったなんて」






なにかを言い返そうとする私を瞬は止めて、すぐさま部屋を出る支度をする。






ロリコンはお前じゃないかって、怒鳴りたかった。でも、悔しい気持ちを胸にしまい込む。


奴の挑発に、瞬はこれ以上関わってはいけないと思ったのだろう、何も言わずに、歩き出した。







私も、いたたまれなくて、言い返したい思いをぐっと堪えて、家を出ていった。






残された奴の、勝ち誇った顔を知ることもなく…





< 123 / 165 >

この作品をシェア

pagetop