歪な光
そんなことも知らずに、楽しそうに語るヤマジのほうが、私より健気で笑えてくる。








そして、話はどんどんヤマジの身の上話へ変わっていった。





「僕、女の子とデートとかしたことなくて、あのチラシを見たときに初めて来たのがオシロちゃんだったんだ」





ヤマジはだんだん、私の手の方へ手を伸ばす。私は反射的に少し手をずらしてしまった。





近くに来ただけで寒気がする。





「オシロちゃんは、その、彼氏とかは?」





「いないですよ。いたら、このバイトしてません」





すると、言いにくそうにヤマジは言葉を選びながら話しをする。






話の内容は言わなくても読めた。顔が、語っている。





「じゃあ、男の人とホテル行ったことは?」





やっぱりな、こいつはモテない上に、犯罪経路で童貞を捨てるつもりなんだ。





気色悪い。





でも、こんなデート商法に登録してくるやつなんて、そんな奴しかいないか。




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