歪な光
そんな私を察したのか、瞬も私の隣に少し間を置いて座った。






「レインは賢い猫かもしれないね。君の気持ちによりそっているみたい」





そうかもしれない、私の心をレインは読めているように、ぴったりとくっついてくれる。






「私もここで暮らしたいな」





ポツリと呟いてみた。





「何いってるの、それは無理だよ。制服を脱いだところで、僕のことを知ってる人からみたら、それこそ捕まるよ」





瞬は冗談だと思ったんだろう。でも、私は本気でいっていた。






「本気だよ。瞬ちゃんが家にいてくれるなら、喜んであの家にも帰るよ。でも、あの家はもう、私の居場所なんてもうないんだから」






母がいて、あいつがいる。





そんな住処に私は入っていけない。





どうして、後から来たやつに、私の居場所を奪われなければいけないのだろう。





たった一人の家族のはずなのに、その絆は驚くほど脆いんだ。




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