脳内☆彼氏
その夜は、ヘッドフォンで耳が痛くなる音量で音楽を聞いて、漫画を読みまくった。

幻聴は絶え間なく聞こえた。その声が捨華なのか、部長なのか分からなかったが完全に無視して締め出した。

私は寝オチするまで、音楽を聞き、漫画を読み続けた。




妄想から逃げるには、自分を消すしかなかった。







次の日の部活。恐る恐る音楽室に入ると、皆がおしゃべりをピタリとやめ、私をジロジロみでクスクス笑い始めた。

副部長たち3年生が半笑いで、私を取り囲んだ。
「観月さん、昨日準備室で部長に告って振られたって、ホント?」

キャハハハハ!

部員全員が爆笑した。
私は無言で部室を出た。

誰が言い出したのかとか、もうどうでもよかった。


私はそのまま職員室に向かい、顧問に退部すると告げた。


顧問は慌てて理由を聞き出そうとしたり、我慢が足りないとかわがままだとか説教を始めたりした。

私は全て聞き流して「でも辞めます。すみませんでした。」と一礼して職員室を出た。



こんな簡単だったんだ。

こんな簡単に辞められるのに、なんで私は苦しんでいたんだろう。


辞めるのは、悪い事・わがままだから?
でも自分を守る為なら、そんな事こだわってる場合じゃなかったのに。


一人になりたくないからって、限界まで無理してクラスやクラブにすがって…バカみたい。


一人になって、解放感で嬉しくて泣きそう。


捨華が声を掛けようとしたが、私は拒絶した。



妄想は汚い。



捨華は哀しそうに掻き消えた。
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