脳内☆彼氏
「かのちゃんも、そうなんじゃない?」
いきなり話を振られて、私は反射的に返事をした。
「あ!うん!そうかも」
話かけた女子:せっちゃんと、隣りに座る女子:くみちゃんが同時に笑い出したので、私はまた失敗したのだと気付いた。
「も~、かのちゃんボケボケじゃん!」
せっちゃんが馬鹿にしたように言った。
「可愛い子なら、お馬鹿でも許せるけど、かのちゃんじゃね~」
いや、確実に馬鹿にしてるよね?
私はイラッときたけど、押さえてヘラヘラ笑った。
「えー?ひどいよ~」
私は心の中でため息をついた。本当は、キツい子は苦手なんだけど、これ位で傷付いたってばれたら、面倒くさい子だって思われる。我慢しなきゃ。クラスで一人になるのは怖いし、せっちゃんとくみちゃんが仲間に入れてくれただけでも感謝しないと。


なんか急に虚しくなった私の肩を誰かが後ろからギュッと抱き締めた。

(大丈夫ですよ花音。私がいます。)

振り替えると、めちゃくちゃ綺麗な男の人が間近で微笑んでいた。白に近い金色の長い髪がキラキラと光に透けている。
昔の中華風のゆったりとした着物は淡い青で、教室で浮きまくっているのに、誰一人彼の存在に気付いていなかった。

あ!待って!引かないで~!
私は霊感少女でも、電波系でもないから!
これは、私の妄想。こいつの服とか私の好きなラノベのキャラの衣装だし。
なんかさびしいから、素敵な彼氏とかにいつもそばにいて欲しいな…って妄想、ていうかドリーム?
キモいとか言わないで!彼氏も本当の友達もいない私が必死で考えた、生き抜く手段って奴なんで、見逃して!
わかってくれる人もきっといる…よね?

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