【完】姐さん!!



「ねえ衣沙……!」



バンッ!と。

勢い良く開けた扉。ベッドの上に寝転んで目を閉じていた衣沙は、「なるちゃんうるさい〜」といつもの調子で話しかけてくるけれど。



「結婚ってなに……!!」



「え? 夫婦になることだろ〜?

あと、婚姻は結婚の類似観念なんだってよ〜。ちなみにウィキ参照な」



「ごめん殺していい?」



結婚の意味ぐらい知ってるから……!

わたしが知りたいのはそんなことじゃないから……!あと参照とか本当にどうでもいい。



カツカツ歩み寄って、衣沙の腕を引っ張る。

「痛いって」と言いながら大して痛そうな顔をしていない衣沙は、マイペースに身体を起こした。




「聞いてないんだけど」



「何が〜?」



「っだから、結婚……!!

衣那くんと満月ちゃんが結婚するって話!!」



肩をつかんで、がくがく揺さぶる。

迷惑極まりないわたしの行為にも表情を崩さなかった衣沙は、「だから俺言ったじゃん」と平然と答えた。



「いや、"言ったじゃん"って、聞いてないし!」



「ああ、違う。そうじゃなくて。

"大事な話がある"って、昨日言ったじゃん」



……昨日?



< 21 / 263 >

この作品をシェア

pagetop