風の歌

=アリアドネ=


「研究所の人達は、これで全員なんですか?」

「いや、他にもまだいるよ。今はまだ働いてるから」


そうだよね。戦争になるほどの物を調べてるところなんだから、スタッフとかいっぱいいるはずだもんね。


「日の国でARMSを扱える人は、ここにいる私達だけなんですか?」

「今のところは‥ね。でも、あと1人いるんだけど今日はまだ帰って来てないの。もう少しで「仕事」を終えて帰って来るはずなんだけど…」


仕事って、やっぱり戦争関連なのかな…。


「…その仕事って、戦争関連のことですか?」

「…誤解してるかもしれないから一応言っておくけど、僕達はARMSのことを研究してはいるけれど、戦争をやっているわけじゃないんだよ」


真剣な目付きで空は海里を見た。


「そもそも、戦争を始めたのは風の国なんだ。知ってるよね?」


頷く海里。


「戦争が始まる前から、すでに日・水・風・炎・雷・地・氷の国にはARMSが幾つか発見されていてね、それに合わせて共鳴者捜しも行われていたんだ」

「…」

「研究が進むにつれ、ARMSのことがだんだんとわかってきた。…そしていつしか、それぞれの国はARMSを使って世界の頂点に立とうとし始めた」



「それが引き金となり、世界中で戦争が始まった。……今は停戦状態だけどね」


しーんとなる。


「僕達研究所のメンバーは、ほとんどの人がその戦争で身寄りを亡くした人達なんだ」


「…そうなんですか!」


じゃあ、陽やあの仏頂面もそうなのかな?


「皆、戦争を恨んでいるんだよ」


…私と同じだ。
私も、戦争を恨んでる。


ぎゅっと拳を強く握る。



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