ラブソング -詩-




次は、若菜さん。


「チィ君と、別れて下さい」

「なんで?」

「私が、チィ君を好きだから」

「ふふっ、そっか。真弥ちゃん…ごめんね?」

「え?」


それは予想外の言葉で、これから若菜さんが取る行動は私の思考回路の範囲を大きく超えるものだった。


「…旦那との間に、赤ちゃんが出来たの。チトセには私から全部言うわ。真弥ちゃん?自分が悪者になる必要なんてないからね」


チィ君はなんでこんな女を好きになったんだろう。

そんなことをいつも考えていた。
でも、この時に何となく分かった。

若菜さんは、とても綺麗だ。


その日のうちに若菜さんはチィ君に全部を喋った。

チィ君は、旦那さんだけ好きでいてあげてと優しい笑顔で言ったと、チィ君と別れた若菜さんから一度だけメールが届いて知った。





「チィ君…」

「真弥」

「あの、ごめんなさい!!私…」

「いいよ。真弥を傷付けたのは俺だから。真弥はただ、俺を守ろうとしてくれただけなのに」


どこまで人が良いんだろう。
なんでこの人を好きになってしまったんだろう。
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