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最後の朝
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考え事をしながら迎えた朝。
気づけば部屋に光が差し込んでいた。

昨日の出来事が頭をよぎり、不安で目を閉じることができなかった。
おかげで寝不足だ。

時計を手に取ると8時46分。
昔から早起きが苦手だったのに、誘拐されてから9時前に起きるのが習慣になっていた。

ベッドから起き上がりリビングへ続く扉を開くと、珍しく黒田が食卓に腰をおろしていた。

「おはよう」

私が声をかけると、黒田は私をちらっと見て再びテレビのほうへ目を移す。

「寝れなかったのか」

「え?」

「クマができてる」

指摘され、思わず私は目を隠す。
黒田にはお見通しのようだった。

「まあ…ちょっと寝不足で」

「昨日のことよりも雷のほうが怖かったのか」

雷…
私は一昨日の出来事を思い出して顔を赤らめる。

「一昨日は震えて”怖い”って抱きついてきたくせに」

「昨日のことだって怖かったわ。知らない人が家を覗こうとしていたら、誰だって怖いわよ」

「もう少し寝ろ。逃げ出したりしなければ、夕方まで寝てくれて構わない」

「それって、心配してくれてるの?」

ぶっきらぼうな言い方だけれど、黒田なりに心配してくれてるんだよね?




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