トップシークレット
エレベーターに乗り、5階で降りる。
長い廊下を歩いて、建物の一番奥、501号室の前で足を止める。

ーーーコンコン。


2回ノックをして、部屋の扉を開いた。
部屋は静まり返り、カーテンで仕切られ何も見えない。

私はゆっくりとカーテンの方へ近づく。

「黒田」

カーテンを開くと、ベッドに寝転がりながら黒田はムスッとした顔で私を見ていた。

「なんだ、起きてるじゃない。返事くらいしてよ」

荷物を置いて、私はベッド横の丸椅子に座る。

「お前、勝手に入ってくるなよ。面会謝絶って書いてるのが見えなかったのか?」

「”関係者以外”でしょ。私、関係者だもん」

そう言うと黒田は黙り、ゆっくりとベッドから起きあがろうとする。

「痛って…」

黒田は背中を押さえて、ベッドに倒れてうつ伏せになる。

「当たり前じゃない。拳銃で撃たれたんだから」

「もうちょっと心配しろよ」

「心配してるからこうやってお見舞いに来てるんでしょ。だからほら、お花持ってきた」

私は先程買った花束を手に取り、黒田に見せる。
黒田はムスッとしたまま目をそらす。

「お礼くらい言いなさいよ」

私は頬を膨らませて、黒田と同じようにムスッとする。
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