素直にバイバイが言えるまで
私は時々、バイト終わりの龍吾を裏の入り口で待ち伏せした。


その理由は、早く会いたいから…


それに驚いた顔の笑顔も大好きだったから。


「来てくれたの?」


って、私を子供扱いした。


うん、ってうなずく私を見て、龍吾の目尻が優しく下がって、甘ったれた顔で私の頭をポンポンしてくれるのも、めっちゃ嬉しかった。


「今日ね、疲れちゃったの…」

「どうしたの?」


バイトが終わったばかりの龍吾の方が疲れているのに、私の話にきちんと耳を傾けてくれた。


そんなふうに、いつも2人で歩きながら色んな話をしていた。


「コンビニ寄ってアイス買おうよ」

と、私が言うと、

「オレのおごり」

って、買ってくれた。


仲良く私の部屋に帰って、アイスの袋を開けていると、


「たまには頑張らなくていんじゃない?」


真面目な顔でそう言って、私の頬にご褒美のキスをくれた。


特別なことをしているわけじゃないのに、仕事で嫌なことがあった日も、龍吾が手をギュッと握ってくれるだけで、すっごく癒やされた。


ーーあの頃に戻りたいよ




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