メトロの中は、近過ぎです!
帰りの車の中は、二人ともほとんど口をきかなかった。


「ちゃんと食えよ」

もうすぐ私の家の近くというところで、大野さんがポツリとつぶやく。

「はい」

私も小さな声で答えた。

「明日はどうすんだ?」

大野さんにしてみればなんてことのない質問なんだろうけど、今の私にとっては答えにくい質問で

「明日は…デートです」

大野さんの方が見られない。

「デート?誰と?」

明らかに私の方を向いて聞いてる声がする。

「…彼氏と」

言わなければよかったかもしれない。

「ふーん。良かったな」

ほら、やっぱり言わなければ良かった。


同じ会社で同じ部署

それが私たちの関係。
それ以上、何を期待することがあるんだろう。
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