メトロの中は、近過ぎです!
月曜の朝、56分発の急行に間に合うように駅に行くと、変わらずに優しい微笑みでシンさんは待っていてくれた。

「本当にすみませんでした」
「もう体調は大丈夫なの?無理しないで」

こくんと頷いた。

この人に金曜日の倉庫での事件は知られたくない。

それと、次の日のことも……

必死に笑顔を作る。

「そんなときに行きたくないんだけど、またしばらくは沖縄なんだ」
「いつからですか?」
「今日から…マホ。一緒に行きたい」
「私もです」



嘘をついてしまった。

本当はどこかでホッとしていた。

解決策はわかっているのに、それを先延ばしにしている。



私は、そのままシンさんを見送った。

< 121 / 309 >

この作品をシェア

pagetop