メトロの中は、近過ぎです!
「はー疲れた。早くマホに会いたくて頑張り過ぎた」

タクシーに乗り込むとすぐにシンさんが姿勢を崩した。

仕事を頑張ったから、羽田からタクシーで千葉まで帰るらしい。
私が驚くと、それくらいは当然のことをしてきたから、とあっさりとタクシー乗り場まで来ていた。

シンさんは、本当に疲れているようで、眼の下にクマが出来ている。
サングラスはクマを隠すためだったのかもしれない。
そんなシンさんを可愛いと思ってしまった。

「少し寝てもいい?」

シンさんが下から上目づかいで私を覗く。
その仕草、絶対私よりも色気があります。

「はい、どうぞ」

そう答えると、私の肩に自分の頭を乗せてさっそく目を閉じている。
細くて長い指は膝の上で綺麗にくまれていて、薄い唇も形よく閉じられている。
何をしても絵になる人っているんだな、とその姿を見つめていた。


知らないうちに私も眠ってしまっていたようで、「着いたよ」と起こされてしまった。

シンさんの家はメゾネットタイプの庭のあるマンションで、オシャレな外観はデザイナーズマンションだと教えられ納得した。

「どうぞ」と言われて入った広めの玄関にはマウンテンバイクが置いてあって、その先にリビングがあった。
オシャレなインテリアが並んでいるリビングに入ると、シンさんはリビングの中にあった階段で2階に上がっていった。

リビングには様々なタイプの椅子が並んでいる。
ふかふかのソファーみたいなものとか、籐で編まれた丸いものとか、天井から吊ってあるものとか…

ワクワクする。
どこに座ろう。

しばらく考えて、とりあえず片っ端から試していくことを思いついた。
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