メトロの中は、近過ぎです!
いやいや狙われるも何も、川端主任は結婚してるし、私たちは人形町支社の仲間だし

大野さん、勘違いしてますよ。

って簡単に言える雰囲気じゃない。

「なんで周りも放置なんだよ」

思った以上に大野さんはお怒りのようだ。
何かイヤなことでもあったとしか思えない。

「3課はほんとユルいよな」
「そんなことないですよ」

グッとこらえて控えめに反論してみた。なのに……

「じゃ、なんで誰も止めないんだよ。他人のことには興味ない奴らが集められてんだろ。だから所詮3課って言われんだよ」

「は?所詮3課って何ですか?
あなたに何がわかるんですか?」

機嫌が悪いのは分かるけどそこまで言わなくてもいいんじゃないですか!

「3課は良いチームです。まとまってます。
お互いを尊重しあい、助け合ってます。
私は3課だからやってこれたし、これからだって異動したいなんて思いません」

私のことはいい。
だけど仲間のことを言われるのは許せない。

2年前ボロボロになって異動してきた私がここまで元気になれたのは、3課のみんなが信じてくれて、何も言わずに待っててくれて、任せてくれたからだ。

「異動してきたばかりの課代に、何がわかるんですか?」

私は、シートベルトを握りしめ、精一杯冷静に声を出した。
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