メトロの中は、近過ぎです!
「それから明日は朝7時集合だ」
「7時?早っ」
「迎えに行ってやる」
「え?いや、いいですよ。逆方向じゃないですか」

大野さんを見ると相変わらず無表情でパソコンに向かっている。

「恵比寿からだからそう遠くない。でかい荷物持ってあの電車乗るつもりか?」
「でも7時ならまだ空いてると思います」
「たまには はい って言えよ」
「え?」

大野さんが椅子の背もたれに身体を預けて、不機嫌そうにこっちを見ていた。

「只で迎えに来られるのがイヤなら、昼飯でも用意しとけ」

只だからイヤとかじゃないんだけど…

「おにぎりでいいぞ」
「おにぎり?」

大野さんがニヤリと笑っている。

「おまえんちの梅干の…」

私の自慢の梅干を覚えていたんだ。

「わかりました。用意しておきます」
「7時に電話鳴らすから降りて来いよ」
「はい」

気が付けば、大野さんと二人で下田に行くことになっている。
しかもお迎え付きとか…

大丈夫か、私…
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