メトロの中は、近過ぎです!
「もし、子供ができてたら認知するよ。マホが望むならね」
「たぶん、子供はできてません」
「分かるの?」
「はい。なんとなく…」
「そっか…残念だったな…」

本当に残念そうにシンさんは言う。

「…ありがとうございました」
「どうして?」

だから私は言わなければいけない

「シンさんを傷つけた私を……責めないでくれて…」
「…はは…それは…俺の方こそ…」

シンさんはうつむいた。
いつも自信に溢れていたシンさんが、今は普通の男の人に見える。

「…そろそろ行くよ。あいつが今にも入ってきそうだし」

ドアの半透明の窓からは人の影がはっきりと見える。

「マホ。悪かった」

そう言うと立ち上がってドアに向かい始めたシンさん。
指先が震える。

「シンさん…」

背中に呼びかけると、立ち止まってくれた。
何を言っていいか分からなかったけど、何か言いたくて

「お元気で…」

もう会うことはないだろう。
それが分かった。

シンさんは振り返って

「おまえも…」

そう言って静かに笑った。


最後まで素敵なひと
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