メトロの中は、近過ぎです!
「ちょっ…ここ病院」

慌てて大野さんの身体を押し返すと、いきなり真面目な顔で見つめられた。

「真帆。返事は?」
「え?返事?」
「おまえが俺を支えろ、の返事」

改めて真剣に聞かれると、照れくさくて、

「返事いる?」

逃げ出したくなる。

「はぁ?いるだろ、普通…」
「じゃぁ。うん」
「なんだよ、その、じゃぁって」
「返事だよ」

もうこれくらいで勘弁したらほしい。
だっていろんなことが起こりすぎてまだまだついていけてないのに

「ありえねー」
「じゃぁ、なんて言うの?」
「知らねーよ」

不貞腐れる大野さんを可愛いと思った。

「フツツカモノデスガヨロシクオネガイシマス的な?」

フッと大野さんが笑って、私も笑った。
いつもの安心する笑顔。

自然とお互いの距離が近くなり、大野さんが私の肩に手をかける。

少し引き寄せられるとゆっくりと唇が私の頬に触れた。
次は瞼に、鼻に…柔らかな感触に甘い気持ちになる。

最後は遠慮がちに唇に……
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