侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「さすがはエセル。それに、貴方が拝金主義者なら、そもそも独立なんて私に持ち掛けないでしょうし、毎月利益の一部をいくつもの病院や孤児院に、匿名で寄付したりはしません」

ルーカス様の肩がピクリと跳ね、恥ずかしそうに顔がみるみる真っ赤になっていきます。

経理関係を取り仕切る専務の仕事を手伝ったとき、たまたま知ったことですが、匿名の寄付はもう何年も続いているのです。

「それに明け方の薄暗い時間に部下を引き連れ、たくさんの贈り物を孤児院の前に匿名で置いたりはしません」

これは、ストーk……コホンっ、たまたま朝の散歩の途中に出くわしたのですが、あの光景を目にしたときは、外国のおとぎ話に笠何とかっていうのがあったのを思い出しました。

「なんでそんな事……」

「知ってるのかって? 教えません。慈善活動をする貴族は多い。でも匿名でずっとやり続けてる人なんて、少なくとも私は知りません。貴方は立派な方です」


結局その日は首を縦に振っては貰えませんでした。

翌日から家に毎日押しか、いえ遊びに行き、フレッドとも仲良くなり、そんな事が続いたある日、ルーカス様は根負けしたように言ったのです。

「俺みたいなのと一緒になってもしょうがねぇだろう。色々言われちまうんだぞ? 良いのか?」

「言いたい人には言わせておけば良い。私は貴方でなければダメなんです。ですから……」
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