侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
寝耳に水のご様子で、ルーカス様は目をパチクリ。

「有りっ丈の勇気を振り絞ってメイヤー商会の門を叩いたのは、とにかく貴方にまた会いたかったからです。必死で働いたのは、貴方に認めて欲しい、誉めて欲しい、喜んで欲しいと思ったからです。もちろん仕事をしていく中で、他の理由も生まれましたが、大きな流れは変わりません。恋心無くして今の私はありませんし、これからだって同じです。不純で結構、だって貴方が好きなんですもの、仕方がないじゃないですかっ!」

心臓が爆発しそうです。

目の前のルーカス様の目は、見開き過ぎて真ん丸になっています。

敵は思考停止中。この隙に一気に攻め落とすのよ。瞬時に思考しながら、深く息を吸い込む。

さあ行きなさい、ルイーズ!!

「社長、話が戻りますが御褒美を下さるなら、私とけけけ、結婚して下さい!!」

酸欠になりそうになりながら、一息に言い切ります。

女性からプロポーズなんて、お母様が聞いたら卒倒しそうです。

でもこれは、運命の恋なんですもの

ルーカス様は呆気に取られていましたが、数十秒の沈黙ののち、身分が違う事や30以上も歳が離れている事、ご自身の評判の悪さ、その他色々、私に口を挟む隙すら与えぬ勢いで、一気におっしゃいました。

「でもミシェル様とは結婚するおつもりでしたよね!? どうして私ではダメなのです!?」

「死んだ女房の遺言で、エセルを名家に嫁がせる為に上流階級に食い込もうと必死だったが、もうその必要もないだろう? ある貴族が俺のこと、『拝金主義のドブネズミ』って言った事があってな、その通りだから特に反論しなかった。こんな俺がお前さんと釣り合うわけがねぇ」

自嘲気味にルーカス様は笑います。

「ド、ドブネズミですって? そんなことを言うのは、先祖の栄光に必死でしがみ付くしか能がない、ミルクピッチャーくらい器の小さな馬鹿貴族です。私がその場にいたら何倍にもして言い返してやりましたのに」

「……ははは、その時はエセルが毒舌奮って捻じ伏せてくれたから、大丈夫だ……ははは……」

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