御曹司のとろ甘な独占愛
「伯睿、この翡翠を使って。そしたら、『華翡翠』コレクション発表までに間に合うよ!」

「でも……一花に贈った指輪なのに……本当に良いんですか? この石座から翡翠を外してしまったら、この指輪はもう……この姿には戻れなくなります」

 伯睿の言葉に一花は神妙に頷く。

「……大丈夫」

 本当は、大丈夫なんかじゃない。
 この翡翠の指輪には、伯睿への沢山の想いが詰まっている。

 この大切な翡翠の指輪がなければ、翡翠への感動も覚えていなかったし、いつか伯睿に出会えることを願って日本貴賓翡翠へ就職しようとも思っていなかったかもしれない。

 あの時。あの場所で。
 伯睿が大切な翡翠の指輪を贈ってくれたからこそ……一花は、伯睿の元まで辿り着くことが出来たのだ。
 なにより、この翡翠の指輪は……一花にとって『伯睿の愛の具現化』だった。

 ……それを失うなんて。考えるだけでも怖かった。
 導いてくれる存在がなければ、この先、伯睿と恋人として過ごすことも出来なくなりそうな気がする。


『つまり伯睿は私に愛を誓って、十年前から『華』翡翠コレクションを始めたの。十周年セレモニーで『華翡翠』コレクションは次の段階へ進むことになる。それってきっと、私との関係もそうなのよ』

 怡菲の言葉が、一花の心を引き裂く。
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