御曹司のとろ甘な独占愛
 今にも唇が触れてしまいそうな距離。伯睿の二重瞼が艶やかに細められ、黒橡色の双眸の奥に熱が揺らめく。
 獰猛な猛禽類のような雰囲気をまとった伯睿から、一花は急いで目を逸らす。

「そっ、そう毎日、間違えて、お仕置きばかり受けていられないので……」

 この二週間、一花が単語や発音を間違える度に、「お仕置きです」とか「この方が、覚えやすくなる」なんて言いながら伯睿は一花の唇を奪い、深い口づけをしては一花の心を乱していた。

 原理はわからないけれど確かに暗記はできていたし、変に記憶力が上がって、苦手だった項目がむしろ得意になっている。

 が、しかし。

 授業が終わった後に、茹でられたみたいに熱い体と真っ赤な顔のままお風呂に入る度、伯睿の甘い声や口づけを思い出して変な気分になる。
 仕事中も、勉強した単語を使う度に伯睿のことが頭から離れないのだ。

(そんな気持ちで、ずっと過ごせるわけないじゃない……っ!)
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