御曹司のとろ甘な独占愛
 毎日ドキドキして、伯睿のいない場所でも伯睿のことで頭がいっぱいになる。
 対して伯睿はいつでも涼しい顔をして、余裕たっぷりに微笑むだけだ。

 だから今日は、休み時間の復習や単語帳の勉強に加えて、昼食時間を削ってまで予習を万全に行っていた。
 このまま伯睿にやられっぱなしでは面白くないので、伯睿の言うお仕置きを受けなければ、彼への仕返しになると思ったのだ。

「だって、いっつも私ばっかり伯睿のことを考えているみたい。それって……なんだかズルい。伯睿も、私のことで頭がいっぱいになっちゃえばいいのに」

 一花は伯睿からめいっぱい目を逸らし、少女のように小さく唇を尖らせた。

 心情を吐露しているうちに、彼女の目元は薔薇色に染め上げられていく。
 そんな一花の可愛らしく恥じらう様子に、伯睿は息をのむ。目の前にいる、この可愛らしい生き物をどうしたらいいのかわからない。

(俺だって、こうして毎日きみに翻弄されているのに……。随分昔から――もうずっと、俺の頭の中はきみのことでいっぱいなのを、きみはどうやら知らないらしい)

 きゅうっと喉が内側から引っ張られるようなときめきに、痺れるような切なさが背筋を駆ける。
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