不誠実なカラダ
車はそのまま、ホテルへと向かって行く。

「部長、停めて下さい!」

私は車のハンドルを掴んで、車を急停車させた。

「危ないだろ!」

「このまま、部長に抱かれる方が、危険です!」


知らない間に、涙が出ていた。

「高杉……」

「ごめんなさい。私、気づいたんです。」


そうだ。

私は、約束違反をした。


「ただ、抱かれるだけじゃ嫌なんです。」

「えっ……」

「部長には、私の心も一緒に、抱いて欲しいんです。」

私と部長は、見つめ合った。

「本当にごめんなさい。私の方から、体だけの関係を迫ったのに。」

私はシートベルトを外した。

「今までの事は、全部忘れて下さい。」

助手席のドアを開け、車の外に出ようとした。


その時だった。

部長に、後ろから抱きしめられた。

「忘れられる訳、ないだろう。」

胸が苦しくなった。
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