『 』
ジョンと呼ばれた少年に2階のは風呂に通され体を洗い2年ぶりの温かい湯に浸かった。
湯船に浸かりながらぼーっとしているとこの二年間の様々な出来事が思い浮かんでは消えていった。がやはり最後の両親の顔は消えていかなかった。
あの日は
街の創設祭で賑わっていた。
アレグリーアの中心都市に住んでいたアイカの一家は有名な歌い手の一族でよく街の人々の前で歌を披露する芸者のような仕事をしていた。
父も母も綺麗な声をしていて自分もいつかはああして両親の隣に立ち皆に歌を届けるようになるのだろうと夢みていた。
「アナタもうすぐ開演よ急がないと遅れてしまいます。」
「あぁ。そうだな。アイカお父さん達は街の広場にいるからね。聞きたくなったらお前も友達と広場へ来なさい。」
「はい!!
お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!!」
だが
両親は歌うことはなかった。歌はおろかでかけることもましてや家から出ることすらなかった。
アイカが返事をした瞬間だった。
大きな地響きとともに人々の悲鳴が轟いたのは。
隣国、アイカがいまいるこのクイダードは
街の中心部に向かって大砲を打ち込んだのだ。地響きで起こった地震に足を取られた母は倒れてきた棚に腰まで挟まり抜けられず
父がなんとしても棚を動かそうとしていたが重厚なそれに父の力も敵わなかった。
父は母の手をしっかりと握って話さなかった。
「アナタ、あの子を連れて逃げてください
私は共にはいけません。どうかあの子を…」
「バカを言うな!!生涯を共にすると誓ったんだぞ!!置いてなんか行くものか!!」
ふたりは仲のいい夫婦だった。いつか2人のような夫婦になるのだと思っていた。
そして言われた。
遠くへ逃げろ……と。独りぼっちになったのはその時からで振り返りざまに見えた父と母の苦痛に満ちたさみしげな顔が頭から離れなかった。
「…………………………」
「あの時…ママはなんて言ったの…?」
呟いや言葉は
風呂の中で響くだけで答えをもたらすことは無かった。
湯船に浸かりながらぼーっとしているとこの二年間の様々な出来事が思い浮かんでは消えていった。がやはり最後の両親の顔は消えていかなかった。
あの日は
街の創設祭で賑わっていた。
アレグリーアの中心都市に住んでいたアイカの一家は有名な歌い手の一族でよく街の人々の前で歌を披露する芸者のような仕事をしていた。
父も母も綺麗な声をしていて自分もいつかはああして両親の隣に立ち皆に歌を届けるようになるのだろうと夢みていた。
「アナタもうすぐ開演よ急がないと遅れてしまいます。」
「あぁ。そうだな。アイカお父さん達は街の広場にいるからね。聞きたくなったらお前も友達と広場へ来なさい。」
「はい!!
お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!!」
だが
両親は歌うことはなかった。歌はおろかでかけることもましてや家から出ることすらなかった。
アイカが返事をした瞬間だった。
大きな地響きとともに人々の悲鳴が轟いたのは。
隣国、アイカがいまいるこのクイダードは
街の中心部に向かって大砲を打ち込んだのだ。地響きで起こった地震に足を取られた母は倒れてきた棚に腰まで挟まり抜けられず
父がなんとしても棚を動かそうとしていたが重厚なそれに父の力も敵わなかった。
父は母の手をしっかりと握って話さなかった。
「アナタ、あの子を連れて逃げてください
私は共にはいけません。どうかあの子を…」
「バカを言うな!!生涯を共にすると誓ったんだぞ!!置いてなんか行くものか!!」
ふたりは仲のいい夫婦だった。いつか2人のような夫婦になるのだと思っていた。
そして言われた。
遠くへ逃げろ……と。独りぼっちになったのはその時からで振り返りざまに見えた父と母の苦痛に満ちたさみしげな顔が頭から離れなかった。
「…………………………」
「あの時…ママはなんて言ったの…?」
呟いや言葉は
風呂の中で響くだけで答えをもたらすことは無かった。