僕の肺をあげるから、君の心臓をちょうだい
全員が走り終わり、みんながヘトヘトの状態で教室に戻る。


「あっちー」

さっきの持久走で体が暖まったのか、みんなクーラーの温度を18℃に設定しているのに下敷きであおいでいた。



「ふー、疲れたぁー……」

着替え終わった蒼が机に倒れ込む。

下敷きであおぎながら「お疲れ」と言うと項垂れていた頭が急にムクッと起き上がる。



「……サク、今度数学教えて」
「いいよ」

きっと私に気を遣って言ってくれたのだろう。


蒼はいつも、私が何かを言われても「大丈夫?」と野暮なことは聞いてこない。いつも通りに接してくれる。
その優しさがいつも嬉しく心強かった。』
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