軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う



「神を盲信するあの島から聖女を攫う。それがどれだけ国を危険に晒すのか、聡明な陛下にはわかるはずですが?」


 べリエスのモスグリーンの瞳に、真意を問いただそうとする鋭さが垣間見える。


 いきなり連れ帰って、妻にすると宣言したのだ。当然、説明を求められることもわかっていた。だが、説明もなにもレイヴンにはないのだ。


「あの島で聖女は一生を神に捧げて、死ぬまで孤独らしい」


 ぽつりと話し出すと、べリウスは微笑を浮かべたまま片眉を訝しげに持ち上げる。おそらく、唐突な話題の意図をはかりかねているのだろう。


 レイヴンはべリエスも参戦していた海域での戦の最中に船から落ちた後、運よく流れ着いたカエトローグ島でセレアが助けてくれたことをかいつまんで説明した。


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