軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う



「皇妃様が愛しくて、仕方ないのですね」


 支度を終えると最後に「陛下が広間でお待ちです」と言って、部屋を出ていく侍女の背中を呆然と見送る。


「本当に私を愛してくれていると錯覚してしまいそう」


 熱くなる頬を両手でおさえて、よろよろと椅子に腰かける。


(レイヴンは気遣ってくれているだけ、他意はないのよ)


 そう言い聞かせても、やっぱり嬉しいものは嬉しい。人づてに聞くとなおさら、真実味を帯びて、彼が自分を想ってくれているかもしれないと期待してしまいそうになる。


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