軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「まさか、情がわいたのか?」
「え?」
唐突に突かれた核心。セレアの心臓はドクンッと跳ねて不自然に視線を逸らす。
(これじゃあ、肯定しているも同然じゃない)
自覚がありながら、戸惑って平静を装えなかった。そんなセレアを見た彼は責めるような、傷ついたような形容しがたい複雑な顔をしている。
「なんにせよ、心を許しすぎるのは感心しないな。きみは聖女だから、大切なものができるほど傷つくだろう?」
「わかってるわ」
(アグニが心配して言ってくれたのもわかる。けど、どうしたらあの人に惹かれる心を止められるというの?)
踏み込めば踏み込むほど、彼という人物をもっと知りたいという衝動に駆られてしまう。
アグニの言った通り、大切なものができるほど失う痛みは大きくなるというのに。