好きでいいかも……
 
 私は職場の女性グループが座るテーブルの中にいた。


 美也子の後輩である女子二人は、多分初めてであろう披露宴に胸を熱くし、もうすでに涙をハンカチで拭っている。

 ドレスも今日の為に、新品を購入したのだろう。

 二人とも今年流行のものを着飾り、美容院で髪をアップにし、若さと可愛らしいさが溢れている。

 その証拠に、披露宴が始まる前から、新郎の友人であろうテーブルの男子たちが、二人をチラチラと見ては何やらコソコソと話していた。


 そして、私の向かいに座る佳代子は、三年前に結婚して育休中。

 久しぶりに育児と家事から解放されたのか、会場に入るなり、おしゃべり止まらず、違う意味でこの式を楽しんでいる気がする。


 その横に座る有美は、二人の子供を抱え離婚をきっかけに、仕事に復帰した。

 佳代子と有美のドレスは、シンプルで無難なもの。

 要するに何度も着回しがきくよう数年前に購入したものだろう。

 髪も、自分でブローして整えた様だが別に問題ない。  



 私の右隣りは、ロングヘアーを靡かせた美人で、しかも仕事の出来そうなきりっとした姿勢で座っている晴香だ。

 しかし、この美しさがもどったのはつい最近の事で、やっと離婚が成立し晴々とこの日を迎えたのだ。

 新品では無いだろうが、大人っぽいワイン色のドレスを上手く着こなしている。



 そして、私はというと先頭切って結婚し、先頭切って離婚して五年になる。

 一人での生活の自由を知り、仕事でもまあまあ認められ、充実した日々だと思っていた。


 そんな、メンバーの顔を見渡し、この披露宴への想いが様々であるなどと頭の中を膨らませていると……
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