好きでいいかも……
 昼休みを晴香と一緒に近くの喫茶店で済ませ、会社へと戻ると、私を見るなり受付の若い女の子が手招きをした。

 受付のカウンターに近づくと…


「お客様がお待ちで……」

 と受付の子が言い終わらないうちに……


「リサ―」

 と言う聞き覚えのある声がロビーに響いた。


 いきなり胸がギュッと締め付けられた。


 まさか……

 そう思いならも、声のする方へ振り向くと……


 私に向かって、一直線に走ってくるのは、笑顔いっぱいのカイトだった。



 私は思わず屈みこむと、走ってきたカイトを両手で力一杯抱きしめた。


「リサ! お手紙ありがとう。急に居なくなったからびっくりしたよ……」

 カイトは私の胸の中で、少し怒ったように言った。



「ごめんね…… でも、どうしてここに……」

 私はカイトを胸から離して目を合わせると、数日離れただけなのに、とても愛おしく感じた。



「パパがね、お手紙のお返事の住所が分からないから、リサに届けようか? って、言ったの」

 カイトは嬉しそうに、肩からリュックを下ろすとチャックを開け、中から水色の封筒を出した。



「えっ!」

 私は、驚きのあまり大きな声を出してしまい、ロビーにいた人達がこっちを見た。


 その中に、ジョンの姿があり、水色の封筒を手にしたまま動けなくなってしまった。
< 65 / 79 >

この作品をシェア

pagetop