好きでいいかも……
 すると、私の腕をポンポンとカイトが軽く叩いた。

「ねえ、リサ、今日一緒に遊べる?」


「あっ……」

突然の事に、言葉に詰まってしまった。


 背中に、誰かが近付く気配を感じる……


 しかし、顔を上げる事が出来ない……



「カイト…… 手紙渡すだけだって言っただろ?」


 その声は、何も変わっていない落ち着いたジョンの声だ……

 息も出来ないほど苦しくなる。



「え―っ でも……」

 カイトの目に、ウルウルと涙が滲みだした……



 私は、胸の中に詰まっているものが重すぎて、言葉を見つけるどころか、ジョンを見る事すらできない……



「リサ…… 仕事が終わってからでいい…… 少し、話がしたい……」

 ジョンの声が、胸に落ちてきた……


 本当はすぐにでもジョンの胸しがみつきたい……



 今、目の前にジョンがいる事が、苦しいくらいに胸を締め付ける。


 こんなに、逢いたかったのだと、改めて自分の気持ちに気付かされた。


 ゆっくりと、恐る恐る顔を上げると、そこには少し切なそうなジョンの目と重なった……


 唇を噛みしめ、毀れそうになった涙を堪える。


 でも、言葉が出ない……


 しばらく、私の目を見ていたジョンが、ゆっくりと出口の方へ向きを変えた。


 今度こそ、本当にジョンは行ってしまう……


 その時……


 「ねえ、カイト君。少しの間パパとリサ、二人でお話しさせてあげようか? その間、リサのお仕事のお部屋を見せてあげるわ」


 そう言えば、晴香が一緒に居たんだった……
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