私は君が分からないから
始業のベルは琳が教室前についた途端鳴り、

私は一人教室外に残されていた。



…琳が入った瞬間、静かになったな。



ザワザワというざわめきは消え去り、

扉1枚越しに聞こえるのは琳の何を言ってるのか聞き取れない程度の声だけ。



そしてそれはしばらくすると私の名前を呼んだので、扉を開ける。



ーガラっ



静まり返った室内でも、音をたてずに移動し、

琳に凭れられている教卓の横で止まる。



後ろの黒板には、大きめに氷咲蘭と書かれていた。



「えーっ、転入生は氷咲蘭さんっす」



「美人」

「きれー」



「スタイル良い〜」

「うわ〜、堪んねぇ」



「あれが…」



様々な反応をされるのを聞か流していると。



「皆、くれぐれも怒らせないようにするっすよ」



え?



そんな反応をする生徒を完全スルーし、教室内を見渡す琳。




「…席はその空いてる席っすねー。んじゃ、1時限目は前から出していた課題出すんすよー」



ーガラ…ガラっ



言うだけ言って出て行った琳。



もう少しやること無いのか。



…いや、だがそういう高校だからこそか。



霞桜は基本的、授業態度は成績に直接関係無いことが多い。

これは担任になる教師次第でもあるが、その中で琳は一番放任主義だろう。



欠席すれば出席日数が足らないなんかで留年もあり得るが、

出席…はっきり言うと顔を出し、テストで課される点数を出せば卒業出来る。



ただ、一度でも成績が課されていたものに達しなかった場合、

出席は余儀なくされるが。



つまり結果を重視する面がある。



例えば学期ごとに必ずあるテスト。

そして、不意打ちで行われるテストも含め。

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