「つ、着いたね。」


「・・ん!ああそうだね。」


考え事をしていたらあっという間に目的地に着いた。


まだ何組か遊んでいる人達もいるみたいだ。





夜の海も綺麗だな。



俺達はなるべく人がいない所に向かう。



「・・・・」

「・・・・」




海に着いてから今まで以上に喋らなくなっちゃったな。


会話が無いほうが俺としては好都合だけど・・。


さっきの考えが正しかったら恐らく、

もう海に着いてしまったからには次に嘘をつけなかったら確実に死ぬ。





「この辺で座ろう。」


「う、うん。」



海はのどかだな。
俺の気も知らないで。



しばらく2人座って海を見続ける。



「・・・きょ、今日は月が綺麗だね。」


「うん。そうだね。」


「河原君・・・。」


「ん?」


「・・・・」


「ああ、花火か。
ちょっと待ってて。」



先程買った一番小さいサイズの花火を取り出す。


「危ないからちょっと後ろ下がってて。」


松尾さんの腕を軽くつかんで俺の後ろに引っ張る。





「はは、安かった割りには結構勢いあるな。」


1本つくと、2本3本と続けてつける。



「ほら松尾さんも持って。」


「うん。」


2人しゃがんだ状態でしばらく花火を楽しむ。


さっきから黙ったままだったけど、松尾さんも楽しそうで良かった。



「楽しいね!」


「うん!」





一時はどうなることかと思ったけど、結果的には気分転換にもなったし良かったな。




最後の線香花火が消えると、また嘘まみれの現実に戻る儚さが残ったけど、


夏休みの思い出には十分すぎる1日になった。




第6話 完


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