100年に一度の王子様

王宮



…………………。
……………。
………。


…が、待てど痛みはこない。

あぁ、痛みを感じずに死んだのかな、私。
うん、そっか…それならそれで…よかったかな。
苦しんで死ぬなんてやだし…。

一人で納得していると、
聞き覚えのない声が降ってくる。



「……いつまで寝ている気ですか。起きてください。」



え…?
起きる…?
それは、どういう意味…?



「……いいから、早く起きろ。」



ぱしん!
右頬に軽い痛みが走る。
叩かれた、と気づいた時、
私はスッと瞼を持ち上げた。

あれ、私、どうなって?
起きれた…起きれた…?



「…しっかりしてください。もうすぐ王宮に着きます。……それともまた私に担がれたいですか。」



王宮…?担ぐ…?
この人は何を言っているの?

はっきりしてきた視界に映ったのは、30前後のキリッとした顔つきの男性。

……誰だ。



「…もう一度、叩きましょうか。」



彼は苛立ちそうに眉間を寄せる。

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