聖なる夜に来る待ち人は
まずは駅前のドーナツ屋さんに向かおうと、校門を出れば少し色んな生徒に振り返られるも既に噂が流れてたからかそこまで騒然とかいう事態にはならなかった。


それでも、昼休みの件があるから何でだろうと思っていると


「騒がれないのが何でか分かんないって感じか?」

そう聞かれて

「うん。私、顔に出てた?」

思わず顔を押さえつつ聞くと


「出てたな。」

クスッと笑いながら言われてちょっと恥ずかしくて俯くと

「昼休みの後な、教室に戻って言ったんだよ。受験も終わってやっと俺は好きな子にアタックしてるんだ。邪魔してないでくれる?ってね。」

そう言うとぺろっと舌を出してハニかむイケメン。

どんな表情でも絵になる。
ちょっとずるいと思う。



「それじゃまたどんどん広がるよ?いいのそれで?」


「俺としては邪魔されなければそれで大助かりだし。他のやつが八雲にアタックするのも阻止出来るから一石二鳥かな?」


そんな風におどけて言うので


「後半はまぁ、無いけれど。前半の邪魔に関しては寺川くんだからね、納得。」

そうクスッと返すと


「そんな事言って。八雲は自覚なしなんだな。」


はぁーと長いため息をつく寺川くんに、自覚無しってなんぞや?と思いつつも歩いている足は止まってなかったので無事にドーナツ屋さんに到着したのであった。
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