配信教室
俺は咄嗟に沙希の姿を探していた。


真っ赤に染まった教室の中、1人机の下に身を隠している沙希の姿を見つけた。


「沙希!!」


俺はそう叫び、教室内へ踏み込んだ。


途端にクラスメートが襲い掛かって来る。


その手にはハサミが握られていて一瞬ひるんでしまった。


相手は容赦なく俺の右肩にハサミを突き立てた。


制服を貫通し、皮膚までハサミの刃が到達する。


痛みに脳が刺激される。


痺れるような感覚がした後、俺は無意識のうちにナイフを取り出していた。


これは正当防衛だ。


相手の腹部に深くナイフを突き刺しながら、俺はそう思っていた。


ナイフを一気に引き抜くと血があふれ出してクラスメートはその場に膝をついて倒れ込んだ。


その体をまたぎ、沙希の元へと急ぐ。
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