残り100日の私と大好きな君
ピッ…………ピッ………………ピッ……

不規則でまばらな機械音。

咲楽ちゃんは、あの日からずっと目を覚まさない。



あの後、先生たちが来て、すぐに咲楽ちゃんは連れていかれて、モニターや管だらけの体にされてしまった。

……しかも、僕のせいで、咲楽ちゃんの呼吸はほぼ止まりかけで、緊急の措置として、気管を切開され、そこに管が通された。

ほんと、何やってんだろ……

咲楽ちゃんの願いっていう建前を借りて、本当は自分が咲楽ちゃんと海に行きたかっただけだった。

最後に、一度でもいいから一緒に海を見たい、思い出を作りたい…そんな、勝手な行動のせいで、咲楽ちゃんにまた辛い思いをさせた。

ごめんね、痛かったよね……

いくら、涙を流しても、咲楽ちゃんは目を覚まさない。

日に日に、咲楽ちゃんはやつれていき、もう必要のなくなった抗がん剤をやめたことで、髪の毛が伸びてきていた。

後悔しても、もう取り返しがつかないことをしてしまった。

悔やんでも、悔やみきれない。

ずっと握り続けている小さくて細いては、一度も動かず、声をかけても、反応すら示さない。

毎日、ちょっとずつ弱っていく咲楽ちゃんを隣で見続けるのは、本当に辛かった。

毎日、少しずつ心拍数が減っていってることなんて、気付きたくなかった。
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