残り100日の私と大好きな君
「咲楽ちゃんっ!!」

ハッと気付くと、心配そうな奏汰くんの声。

「痛むの?先生、呼んだから、もう少し待ってね!!」

そう言ってギュッと手を握ってくれる。

それから直ぐに先生が来て、痛み止めの点滴を打つ。

けど、痛みはすぐに収まるわけじゃない。

……やめて、やめて…痛い

もうやだ………苦しい……

「…………もぅ……………………楽に……させ…て…………」

思わず、その言葉が口から零れる。

「咲楽…ちゃん……」

ひどく悲しそうな声

…ごめんね、奏汰くん……

「もう……辛いの…」

そう言い終わるタイミングで、ギュッと抱きつかれる。

「ごめんね、僕、咲楽ちゃんに辛い思い我慢させてるよね…そのくせ、何もやってやれない。……本当にごめん」

その声は最後になるにつれ涙声になって行く。

「………………も、もう……治療、止めたい?…僕が咲楽ちゃんに治療してなんて言ったから……辛い思いしてる…でも、辛いの、嫌だよね。僕も、これ以上辛い思いしてる咲楽ちゃんは見たくない。…咲楽ちゃんの笑顔……見たいから…………咲楽ちゃんには、笑ってて欲しい……」

その言葉に、私は少し安心する。

楽になって、いいの…?

治療やめていい?

「……っ、でもっっ!!…………死んで欲しくはないんだ…ごめんっ、わがままだし、無理なこともわかってる。…でも、咲楽ちゃんを失いたくない!!いつも笑顔の咲楽ちゃんと一緒にいたい」

その声の直後、私の頬になにか冷たい雫が落ちてくる。

何粒も何粒も落ちてくる。

これは、きっと…涙

奏汰くん、泣いてる……

「ごめ……んね、私、もっと丈夫な体………………だったら、…よかった……ね」

そう言うと、抱きつかれる力がまた強くなる。

「咲楽ちゃんっ……」

「……私も、奏汰くんに…笑ってて…欲しい…………泣かないで………欲しい…だから…………少しでも…希望が……ある…………なら…生きたかった」

言っている途中から、自分でも涙が溢れてくる。

最近、泣いてばっかりだな。

「生きる希望……ある…かな?………………あるなら、頑張りたい……けど、ないなら…もう、治療やめて…………1回でもいいから……奏汰くんと一緒に………………おでかけ……した…い」

また、雫がいっぱい落ちてくる。

「……先生に、聞いてみる?」

「うん」
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