残り100日の私と大好きな君
静まり返った病室

先生が部屋を出ていってから、私と奏汰くんの間には思い沈黙が流れていた。

それでも、奏汰くんは私の手だけは離さないでいてくれる。

震える手で、何度もギュッと握ってくれる。

私はその度、泣きそうになった。



治療は、辞めることにした。

一週間はあまりにも短すぎたけど、それでも何も動かないよりはまし。

一週間の間に、1回でも外出出来たら良いかなって…



それでも、やっぱり涙が出そうになる。

あと一週間で奏汰くんとはお別れ

私という存在は消えて、いつか忘れられる。

……忘れられるのは、怖い。

今まで生きていた証が

私という存在が

…………どれだけちっぽけだったか、思い知らされそう…

でも、死んだらお母さん喜ぶかな…

迷惑で出来損ないだから……

奏汰くんは、私が死んだら泣いてくれるかな

さすがに、一人も泣いてくれる人がいなきゃ…寂しいよ

…………あぁ、ダメ。涙が出てきそう。

泣いちゃダメ、泣いちゃダメ。

私が泣いたら、もっと空気重くなっちゃう……

笑わなきゃ、「やっと楽になれる」って

私が望んだことだもん。

楽になれるのは、嬉しい。

けど、やっぱり……死ぬのは怖いや…



私はムリヤリ笑顔を作る

「…よ、かった。…………やっと…楽になれる……」

声が震える

…………良くないよ

辛い思いもしたくないけど

死にたくないよ

なんで私なの??

何万回考えてもわからない疑問

なんで、なんで、なんで

「……なんで………………」

つい、言葉が声に出る

すると、奏汰くんが私の手を握る力が強くなる。

ごめんね、奏汰くん…

暗い気持ちにさせちゃって……ごめん

…………仲良くして、ごめん…

奏汰くんともっと一緒に……居たかった
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