それもまた一つの選択
1.年の差2歳。
「あのロリータの、どこが良かったの?」

痛烈な嫁批判を真正面からかます息子。

「成り行きで」

「頭オカシイ」

穏やかな息子が毒舌になる時。

決まって嫁が息子にちょっかいをかけている。

「で、今回は何されたの?」

息子は俯いたまま、一瞬何かを言おうとしたが。

ヤメた。

「では、仕事に戻ります」

「お疲れ様」

息子は就職して1年が経った。

郵便配達をしている。

俺が経営する会社が配達区域内にあり、書留などの手渡し郵便物がある時、決まって事務方が受け取らずそのまま社長室に案内する。

息子じゃない時は事務員が受け取る。

…そんな気の使い方。

しなくて良いのに、事務員嬢。




そんな息子は、あと2週間ほどで20歳になるのに。

何を焦ったのか、つい1ヶ月程前、入籍した。

奥様は実は俺の方が年齢近い31歳。

干支も一回り違う。

まあ確かにあの奥様、幼い顔をしているが。
確かに20代半ばには見えるが。
息子が大好きだから、まあいいかと思って結婚は許した。

そしてつい先日、妊娠している事がわかった。
…まあ、入籍してからだからデキ婚ではない。
はず。

俺よりはずっとマトモ。
我が子ながらよくマトモに育ったと思う。
いや、そうでもないか。

今回の息子の怒りはきっと嫁がその奥様に余計なお世話を焼いたのだろう。

あの怒り方、きっとそうだ。



ふと、窓の外の景色を見る。
桜の花が風に揺れていた。

そういえば。
ロリータ嫁と出会ったのもこういう時期だった、と遠い過去を思い出していた。

絶対にあんな騒がしい女子は好みじゃなかったのに。

気になって仕方がなかったんだ。
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