それもまた一つの選択

都貴 -高3の春-

ここの桜を見るのも今年で最後だなあ。
なんて俺はぼんやりと窓の外を見ながら思っていた。

「藤野君、楽しそうね」

なんて図書室の先生に声を掛けられた土曜午後。

「春は大好きですから」

桜が綺麗だから。
桜だけではない、チューリップも菜の花も。

荒んだ心を一瞬、戻してくれるから。

「大学、決めたの?」

「はい、大体は」

学校の先生からは国立大を目指せ、と言われるが。
俺はちょっと下の私立を受ける。
出来たら余裕で授業に付いていけるようなところ。
働きながら大学生をするならその方が良い。
授業料も自分で払うし。

今も、家に帰ればパソコンに向かって仕事。
きっとこれからはこういう世界が世の中を支配すると思ってあらゆるプログラミングを覚えた。
本来の高校生がする勉強なんてほとんどしていない。
授業を真剣に受けて、覚えてるだけの学問。

学校の図書館で好きな本を沢山読んでまったりと過ごすのが俺の唯一の息抜き。

今日は経営学の本。
ドラッカーに関する本を読んだら、この先作るであろう組織を運営する上で参考になるかなあ、なんて。

でも、今日の陽気は俺の眠気を恐ろしく誘う。



暖かいなあ…。
本当に日差しが暖かい。
窓際、最高だー!!
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