虹のふもと
「宇佐美さん。じゃないよ。」
「え?」
自分が宇佐美って名前だって言ったのに。
「私の名前、はる。だから」
宇佐美さんはまだ怒った顔でそれでいて少しさみしそうな顔で言った。
「初対面の人にいきなり名前呼びってなくない?」
「私がひなたくんって呼んでるんだから、
私のこともはるでいいの」
「わかった。はる。」
少し躊躇ったあと、僕が名前で呼ぶととても嬉しそうに笑った。まるで太陽みたいなほんとに嬉しそうな笑顔で。
はるは、ブランコから降りて立ち上がり、僕にまた手を差し伸べる。
「帰ろ。ひなたくん。」