囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
「そう言えば…左東が褒めていたよ君を」
「え?」
食後のお茶を用意していると彰貴さんが急に言い出した
「君は媚びを売るためでも何でもなく…左東にはじめに挨拶し名前を呼び、話したそうだね」
「だってお世話になるのですから当然ですよね?」
嘘の婚約者なのだし、あくまでも左東さんはお仕事で良くしてくださるのだから
それを伝えると彰貴さんはふぅと息を吐いた
「そういうところだろうね…親戚たちも文句の付けどころは君の出自に関してだけだったよ」
「出自…」
「そんなものは辻堂では関係ない。祖母も母も特別にお嬢様というわけではないのだし、条件には含まれないさ」
彰貴さんは嬉しそうに話すが…
そもそも私は嘘の関係なのだから認められなくても大丈夫なはずだ
「でも私は偽物ですから…認められなくても大丈夫なんじゃないですか?」
そう言うと彰貴さんは困ったように眉を下げる
「いや…ここでは認めてもらわないと…」
歯切れの悪い彰貴さんに
「あの彰貴さん…聞いてもいいですか?」
「ん?」
ずっと疑問に思うことを聞いてみたくなった
「なぜ…偽りの恋人、しかも婚約者が必要なのですか?この間は仕事を理由にしてましたけれど……あなたなら引く手数多でしょう?本当は?」
私の言葉に彰貴さんは自嘲気味に唇を歪めながら吐き出すように呟いた
「…オレは…人を好きになるって分かんないんだよ…理解が出来ない、だから人を好きになれる気がしなくて…それで偽りの恋人を連れていた」
「え…」
悲しそうにこちらを潤んだ目で見た…まるで捨て猫のようだ…
「好きな人いないんですか?」
「うん…ずっと身体だけなら簡単に関係を持ったしそれなりに楽しんだけど、それは単に欲を満たすだけで…
オレも誰も好きになれないけれど
誰もオレを好きにならないんだ…外見だけ肩書だけそんな風にしかオレを見ない、前に頼んだ彼女もそうだった
だけど結婚しないと後継者にはなれないし、何より先が長くないと言われている母を安心させてやれない」
「…」
彰貴さんは手にしていた湯呑茶碗をぎゅっと握りしめた
「本当に好きになって相手にも好きになって貰うってどんな感情なんだ、那寿奈は分かるか?人を本当に好きになるって」
縋るような目は言葉が真実だと物語っている
(この人は…だからあんな風にか細くイカナイデと呟くのか…寂しさに慣れすぎてるのかもしれない)
「…分かります…好きな人が、居ますから」
(目の前にいます、好きな人が)
「いるのか?そんなヤツが…」
驚きで目を見開いた彰貴さんはガタンと音を立てながら席を立ち
大股で近づいたかと思った瞬間、私の腕を取って立たせた
「…な、なんですか…」
顔が氷のように冷たくなって…私を見下ろしている
「え?」
食後のお茶を用意していると彰貴さんが急に言い出した
「君は媚びを売るためでも何でもなく…左東にはじめに挨拶し名前を呼び、話したそうだね」
「だってお世話になるのですから当然ですよね?」
嘘の婚約者なのだし、あくまでも左東さんはお仕事で良くしてくださるのだから
それを伝えると彰貴さんはふぅと息を吐いた
「そういうところだろうね…親戚たちも文句の付けどころは君の出自に関してだけだったよ」
「出自…」
「そんなものは辻堂では関係ない。祖母も母も特別にお嬢様というわけではないのだし、条件には含まれないさ」
彰貴さんは嬉しそうに話すが…
そもそも私は嘘の関係なのだから認められなくても大丈夫なはずだ
「でも私は偽物ですから…認められなくても大丈夫なんじゃないですか?」
そう言うと彰貴さんは困ったように眉を下げる
「いや…ここでは認めてもらわないと…」
歯切れの悪い彰貴さんに
「あの彰貴さん…聞いてもいいですか?」
「ん?」
ずっと疑問に思うことを聞いてみたくなった
「なぜ…偽りの恋人、しかも婚約者が必要なのですか?この間は仕事を理由にしてましたけれど……あなたなら引く手数多でしょう?本当は?」
私の言葉に彰貴さんは自嘲気味に唇を歪めながら吐き出すように呟いた
「…オレは…人を好きになるって分かんないんだよ…理解が出来ない、だから人を好きになれる気がしなくて…それで偽りの恋人を連れていた」
「え…」
悲しそうにこちらを潤んだ目で見た…まるで捨て猫のようだ…
「好きな人いないんですか?」
「うん…ずっと身体だけなら簡単に関係を持ったしそれなりに楽しんだけど、それは単に欲を満たすだけで…
オレも誰も好きになれないけれど
誰もオレを好きにならないんだ…外見だけ肩書だけそんな風にしかオレを見ない、前に頼んだ彼女もそうだった
だけど結婚しないと後継者にはなれないし、何より先が長くないと言われている母を安心させてやれない」
「…」
彰貴さんは手にしていた湯呑茶碗をぎゅっと握りしめた
「本当に好きになって相手にも好きになって貰うってどんな感情なんだ、那寿奈は分かるか?人を本当に好きになるって」
縋るような目は言葉が真実だと物語っている
(この人は…だからあんな風にか細くイカナイデと呟くのか…寂しさに慣れすぎてるのかもしれない)
「…分かります…好きな人が、居ますから」
(目の前にいます、好きな人が)
「いるのか?そんなヤツが…」
驚きで目を見開いた彰貴さんはガタンと音を立てながら席を立ち
大股で近づいたかと思った瞬間、私の腕を取って立たせた
「…な、なんですか…」
顔が氷のように冷たくなって…私を見下ろしている