囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
ぎゅっと彰貴さんに抱き着いて優しく背中を撫でるその久しぶりのその手の感触に
涙がまだまだこぼれてくる

「まったく…急にいなくなるんだからな君は…どれだけ心配したか…」

「ごめんなさい…」


…見つめ合い…二人の世界に浸っていると

パチパチパチパチ

急に厨房から拍手が聞こえた

(はっ!!…ご主人もおかみさんも居たんだった!!)

抱き着いてしまいボロボロ泣いて…
恥ずかしくて離れようとしたら彰貴さんがそれを阻止した

「ダメ離れるんじゃない…君が居なくなってからどれだけ辛かったか…」

スリスリと顔を首筋のあたりに擦り付ける彰貴さん

「あ…あの、でも、その…」

ちらちらと後ろに身体を捻じるとおかみさんがにこにこしている

「あら、気にしないで那寿奈ちゃん…
イケメンとカワイ子ちゃんのラブシーンなんて最高じゃない!!ね?あんた!!」

「ううむ、まぁな…でも複雑だぞ…娘を嫁に出すような…」

と二人は笑っていた

その後やっと離してくれた彰貴さんがご主人とおかみさんに向かい合う

「那寿奈がお世話になりました
彼女は私が生涯を共にしたい大切な女性でして…その大変申し訳ないですが連れ帰ります……
ここでの仕事は本日で辞めさせていただきたいのですが…」

「そうか…残念だな、なっちゃんすごく手際が良いし笑顔が可愛いくてね…工員にも人気だったからなぁ」

ご主人はがっかりしたように肩を落とす

「何言ってんの…那寿奈ちゃんがホントはこんな素敵な人の元に居たんなら帰らなくっちゃ…もし欲を言えれば
新しい人をよこして欲しいけど…どう?」

おかみさんはそう言ってウィンクして見せれば
彰貴さんがすぐに頭を下げた

「有難うございます。それはもちろん、お世話させてください」

「あら、さすがすごいのねアナタ…見た目からしてエリートっぽいけど……」

おかみさんは彰貴さんが何者か…知らないのだろう

(それはそうか…)

「それほどでもありませんよ…代わりの人間は明日にでも来させます
他にも何かあればこちらまでご連絡ください」

彰貴さんは名刺をおかみさんとご主人に手渡し、私に荷物をまとめるように話した

「つじどう…って、え?辻堂グループの??」

おかみさんが名刺を手に叫んでいるようだ…

「ええ、まぁ…」

「ヒョー!那寿奈ちゃん!実はすんごいお嬢様とか?!」

「母さん、玉の輿だよきっと!!すげーなぁ」


私のいない所で三人で盛り上がっているようだ…


(そうだよね…私みたいな冴えない子がまさか辻堂の御曹司と婚約してるなんて思えないよね…)

その声を遠くから聞きながら私は荷物をまとめて階下に戻る
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