愛してない。

お願いして「いいよ」って言ったのも
本当はそう思ってない。
断ると相手の目が怖いし、
絶対何か言われるのを私は知ってる。
軽く舌打ちをしてほうきでごみを集めた。

こんな人がいるからダメなんだ。

「お、萩原。ちょうどいい所に。」

大量の紙束を持って歩いてくる担任の鈴木先生。
ユーモアな性格が生徒から人気だ。
大体何を言われるかなんてわかっていた。

「この用紙、2枚重ねでホチキスでとめてくれるか?」

ほら、やっぱり。
そういう面倒な仕事はいつも私。
でも一応学年委員長だ。
やりたいとかそういう意思じゃなくて
先生にお願いされたからしょうがなかった。
どうやら先生に期待されてるみたいで。
そんな期待されたくないけど。
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