誓いのキスを何度でも
「ところで…果歩も俺が好き?」と誠太郎を抱きしめたままで誠一が聞く。

先に誠太郎を口説き落とされているみたいなんですが…

「誠一のことが好きよ。」と私がそれだけ言うと、

「わかってるよ。果歩。
…先に家の事を解決してからって言いたいんだろう。
何度か電話で親父と話したんだけど、帰って来いと言うだけで、
俺の外科医として働きたいと言う気持ちや、
家を継ぐ気は無い。というのは聞いてもらえない。
まだ時間がかかりそうだよ。
でも、俺は果歩と誠太郎と一緒にいたい。
最初は別荘のつもりで毎週、週末や、休日に泊まるのはどうかな?」と私に微笑みかける。

「…そうねえ。
少しずつ、一緒にいる時間が増えるといいなって思うけど…
毎週泊まるのはどうかなあ?
…誠太郎はどう思う?」

「…ねえ、本当に僕の部屋にしていいの?」

と誠一の周りにまとわりついて、誠太郎は私の話を聞いていない様子だ。

こら、人の話をちゃんと聞いてください。


「果歩、誠太郎、家具を選びに行こうか?
誠太郎はベッドっている?
3人で和室に一緒に寝る方がいい?」

「ベッド欲しい!」と誠太郎はぴょんぴょん飛び跳ねる。


「誠太郎はひとりで寝れないでしょう?」と私が呆れると、

「平気だもん!」と誠太郎は誠一を見上げて手を握る。

「男の子だもんなあ。ベッド買っておくか。
慣れるまで、和室で一緒に寝ればいいよ。」と誠一も笑顔を見せる。

「やったあ!」と誠太郎は喜び、誠一と玄関に向かう。


誠一は玄関で靴を履きながら私の肩をそっと抱き、

「俺も書斎にダブルベッド買おうっと」といたずらっぽい笑顔を見せた。


…少しずつって言ったでしょ

君も私の話をちっとも聞いていないな…

と私は顔をしかめた。


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